再生して隠居した元社長が捕まった話

[zero]

「父が捕まった」

これ以前に再生果たした不動産屋さんの開発業者の会社さんのご相談です

超ワンマンの社長さんがこれまでずっと経営してきたけれどある大きなプロジェクトがこけてしまいまして数年前債務超過に陥ってうちに相談があったんです

当時幸いにも現場に優秀な役員の義理の息子さんがいましてその方に第2会社を作って引き継いでもらって無事にこの事業の再生を果たしたんです

その元の社長さんもこれを機に現場の方から離れてもらって隠居生活の為に多少のお金が残せたという事でそれなりの形で終わらせたんです

なんか理想の第2会社で綺麗な形でスムーズに終わった事例だったんだけれど

それから数年経ちましてそこの会社社長の義理の息子さんから電話がかかってきた

「社長が捕まった」っていう連絡が来たんですよ

私先日それで警察署に面会しに行ったんです

警察署で面会ってしたことありますか？

1回あの面会のデビューをしてもらったほうがいいと思います

やっぱ1度体験するとまさにドラマのシーンですよ

網の丸みたいなのが目の前にあってあれ意外に声の通り悪いんでこちらの声が向こうに通らないんですよ

向こうは意気消沈で凹んでたりするとボソボソ気味の声になったりするわけよ

後は終始後ろに警察の方が1人座ってて会話内容全部聞いてるわけよ

まさにドラマのシーンと同じだから何かこう悪い話でもしてんじゃないかって言う感じで向こう側にいる人はぼそぼそ口調にどうしてもなるんだよ

だから「え？え？声聞こえない」みたいな状況があるあるなんだ

ドラマみたいに綺麗にはマイク通ってないからどんどん顔が近づいててお互いキスするんじゃないかって言う距離になるわけ

しかも拘留中って言われてる時は警察の調書があるから毎日この人と面会っていう風にできない事もあるんです

だから月火水だけ今週は3人いけますよみたいな感じになると選ばれた人しか行けないんです

もちろんこれとは別で弁護士さんは毎日何時間でも会えるんだよ

けど一般人っていわれてる人たちの面会は1日1人までかな

だから俺みたいなのが久しぶりですっていう感じで行くわけですよ

せっかく枠があるからちゃんと使ってあげなきゃなと思うけれども20分しか枠ないんですよ

都合によっては15分だからわりかし早いピッチで淡々と語っていくしかないわけ

「どうも久しぶりです」とか言いながら世間話なんかやってると終わっちゃうもう淡々と「何が起きたんですか？」って所をどんどん聞くわけ

まだ進行中の事件なのでちょっと詳細は話せないんですけれど

何年もその社長さん前のこの第1会社っていうのを全部綺麗に終わった後にその後清算しなかったんです

結果的にそれを使ってビジネスを小遣い稼ぎを自分でやっていたと

全部綺麗にあの終わった後に債務だとかってその第1会社がゾンビになるんだけどここを誰も回収なんかしに来ないんですよ

っていうことはある意味では最強の口座ができあがるっていう考え方もできるわけ

我々その後に清算なり破産なりさせて綺麗に片付けていくんだけれど

その社長さんはそれを2次的に使ってもしかしたら結果的に詐欺的な事を働いていたと

これが詐欺かどうかっていうのは今後裁判所が判断する

一応被害にして1100万円ぐらいあるからそれで逮捕されたみたいだね

色々話を聞いた上で今の社長さん義理の息子さんに聞いたの「これどうやって処理していきましょうか」って

これまずお父さんを見捨てるのか守るのかというところでも大きな問題が起きるんですよ

守る場合は個人で守るのか会社で守るのか結構難しいんですよ

やっぱりお父さんの持ってる影響力でまだ飯が食えてる状況っていうのも部分的にあるの

当時のお父さんとの繋がりの御客様も何社かいらっしゃって

今回無碍にしてお父さんと敵対してしまって大塚家具みたいな状態になってお父さんのほう行っちゃったりされると困るわけ

だからその1100万円を会社として立て替えようかって言う結論になったと

けれど1100万円を用意することになったんだけれどこれをすぐに使ってしまうと会社がキャッシュショートになる可能性が出てきた

決算書上の面構えは良くても実際のキャッシュ自体が当座的に足りない事って余計にあるじゃない

黒字倒産みたいなことも出て来るわけだからそのリスクがないとは言えなかったわけよ

じゃあどうしましょうってことで金主を見つけて助ける算段がたったと

ちょっと面白い話で余談で後日その会長と2回目の面会したんですよ

で資金の話とかをもう1回して上で「じゃあこういう算段でいきますんで」っていうことで

「これから裁判所とか弁護士も呼んでこういう話しましょう」ってことで終わったんだけどちょっと時間があまったの

そしたらこの会長から頼まれたの今3人で部屋をシェアしてるらしいんだよ独房シェア

自分以外に2人いるんだけど1人が空き巣の常習者でもう1人がオーバーステイしてるビザ無しのベトナム人なんだって

「2人とも残高200円しかねえみたいなんだよ」って言ってて会長さんが「ちょっと金送ってやってくんねえか」って俺に言うわけ

なんか「こいつら面白い連中なんで息子の所の会社で面倒見てやろうかなと思ってんだよ」って言うわけ

そんな場合じゃねえだろうとか思うんだけどこの辺がこの会長が持ってる人間味というかカリスマたる所以っていうのを感じたよね

まさに独房の同じ釜の飯食ってるやつのリクルートまで考えるっていうのがただでは転ばないという男の何かを見たよね

「いくらですか？」って聞いたら

「とりあえず5000円か1万円ぐらい送っといてくんねえか」って

けど同じ独房のルームメイトにどうやって俺がお金送るんだろうと思ったわけよ

そしたら「じゃあその2人に弁護士つけてくれよって」って

弁護士さんが1人に付いてるからその人に5000円預けて送っとけばその人から行くからって話になったわけ

弁護士経由で本人に渡せるからって俺弁護士に電話したんだよ

「実はかくかくしかじかで今〇〇番の方で独房に入られてますよね」って

「〇△番から募金したいと言ってます」と言うと向こうが「ええ！？そんな事あるんですか？」って言うわけ

「サンタのギフトだと〇△番が言ってたと伝え下さい」と

そんなシーンがあったんですよ

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